古い家を、年数だけで「危ない」と決めつけない。まずは建築確認日を確かめ、建物の今を見て、必要な補強を選ぶ。既存住宅の耐震診断は、最初の基準線を出すところから始まります。

今週のブログ / 既存住宅の耐震診断

その家の耐震性を、建築確認日から読み解く2022年から学ぶ「木造住宅の耐震リフォーム達人塾」を生かした、安価な耐震改修の考え方

一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜/深健工舎・木構造マイスター準一級

令和8年7月28日に発生した熊本地震により、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表します。

被災された皆さま、避難を続けておられる皆さま、ご家族・関係者の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く、安心して眠れる日常が戻ることを願っています。

※地震の発生日時等は、建築研究所の令和8年熊本地震特設ページを確認して記載しています。

既存住宅の耐震性は、築年数だけでは決まりません。

こんにちは。

深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。

深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。

快適で住み心地の良い家をつくることを、私たちの仕事の芯にしています。

今回は既存住宅の耐震診断と、無理のない耐震改修に絞ります。2022年から学んでいる「木造住宅の耐震リフォーム達人塾」の学びを生かし、旧耐震と新耐震の切り替わり、建築確認日の見方、診断から改修、補助制度までを率直にお話しします。

■ 目次

  1. 2022年から学ぶ、耐震リフォーム達人塾
  2. 旧耐震と新耐震の切り替わりは、建築確認日で見る
  3. 新耐震でも、平成12年6月を境に確認すること
  4. 耐震診断は、建物の今を知るところから
  5. 安価な耐震改修とは、必要な場所を見極めること
  6. 補助制度は、診断・申請・着工の順番が大切
  7. まとめ|大工の墨出しと、耐震診断の基準線
  8. 家のこと、暮らしのこと、気軽にご相談ください

12022年から学ぶ、耐震リフォーム達人塾

既存住宅の耐震改修は、壁を増やせば終わり、金物を付ければ安心、という単純な話ではありません。地震の力がどこに集まり、どの経路で基礎・地盤まで伝わるのか。図面と現場が一致しているのか。劣化や増改築で何が変わったのか。そこを一つずつ確認します。

カズの学び

2022年から参加している木造住宅の耐震リフォーム達人塾で、限られた予算の中で耐震効果を高める考え方を学んでいます。高額な工事を先に決めるのではなく、診断によって弱点を見つけ、補強の優先順位をつける。これが安価な耐震改修の出発点です。

構造塾で木構造の耐震性を学び、木構造マイスター準一級も取得しました。資格だけで安全を証明するのではなく、大工として現場を見て、一級建築士として根拠を説明し、学びを図面と施工に落とし込みます。

耐力壁の配置、接合部、基礎、屋根の軽量化、リフォームとの同時施工。共通するのは、必要な補強を、必要な場所に、必要な量だけ行うという姿勢です。

2旧耐震と新耐震の切り替わりは、建築確認日で見る

最初に明確にしておきたいことがあります。耐震基準の区分を確認するとき、単純な築年数や完成日だけで判断しません。原則として、建築確認を受けた日を確認します。

建築確認とは、工事着手前に建物の計画が法令に適合しているかを確認する手続です。確認済証が残っていれば、その日付が大きな手がかりになります。書類がない場合は、自治体の記録、登記、図面などを手がかりに整理します。

旧耐震・新耐震・現行基準の違い。区分は耐震診断の入口であり、現在の耐震性は現地調査で確認します。
建築確認日の目安基準の位置づけ耐震診断で考えること
昭和56年5月31日以前昭和56年6月1日施行の新耐震基準より前。旧耐震基準の時期。耐震診断を優先。結果に応じて改修または建替えを検討。
昭和56年6月1日以降
平成12年5月31日以前
新耐震基準の時期。ただし平成12年6月以降とは、木造住宅の接合部・壁配置・基礎の規定の明確化に違いがある。「新耐震だから大丈夫」と決めつけず、配置、接合部、基礎、劣化を確認。
平成12年6月1日以降接合部、耐力壁の配置、地盤に応じた基礎などの規定が明確化された後。図面と現況を照合し、増改築・劣化・施工状態を確認。

大事な注意

この日付区分は優先順位を考える目安です。建築確認日だけで現在の耐震性を断定することはできません。地盤、施工状態、増改築、雨漏り、シロアリ、腐朽、地震被害まで見て、建物の今を判断します。

3新耐震でも、平成12年6月を境に確認すること

昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた住宅は旧耐震基準ではありません。ただし、昭和56年6月から平成12年5月までの木造住宅を、平成12年6月以降の住宅と同じように扱うことはできません。

平成12年6月1日以降は、木造住宅の接合部、耐力壁の配置、地盤に応じた基礎などの規定が明確化されました。だからといって、平成12年6月以降なら診断不要という意味ではありません。大切なのは、建築確認時の計画と、現在の建物が同じかです。

  • 大きな窓や間取り変更で、耐力壁が減っていないか
  • 増築や減築で、建物のバランスが変わっていないか
  • 床下の基礎、アンカーボルト、土台に問題がないか
  • 小屋裏の接合部、梁、雨漏り、腐朽、シロアリ被害がないか

4耐震診断は、建物の今を知るところから

診断前に、資料と建築確認日を整理する

確認済証、検査済証、設計図書、増改築の図面、リフォーム履歴を確認します。資料がなくても、現地調査と公的な記録を組み合わせて建物を読み解きます。

床下・小屋裏・壁・基礎を実際に見る

床下では基礎、土台、アンカーボルト、腐朽やシロアリ。小屋裏では梁、接合部、雨漏り。室内では耐力壁、開口部、傾き、ひび割れを確認します。

現地調査を診断に反映し、必要に応じて一般診断法や精密診断法など、建物に合った方法を選びます。N値計算は、柱頭・柱脚などの接合部に生じる引抜き力を検討するために用いることがあります。N値計算だけで、既存住宅の耐震性すべてがわかるわけではありません。

1

建築確認日と資料の確認

基準の区分を整理し、図面と履歴を確認します。

2

現地調査

床下・小屋裏・壁・基礎・接合部・劣化を確認します。

3

耐震診断

建物に合った方法で、評点、弱点、現状の課題を整理します。

4

補強設計と説明

目標、工事範囲、費用、補助制度、残る課題を明確にします。

5安価な耐震改修とは、必要な場所を見極めること

「安価な耐震改修」は、工事を安く見せることではありません。建物の弱点に対して効果の高い工事を選ぶことです。

確認する弱点補強の考え方
耐力壁の不足・配置の偏り壁を増やすだけでなく、ねじれを抑える位置と力の流れを検討する
柱・土台・梁の接合部必要な引抜き力を確認し、金物や柱脚・柱頭の補強を選ぶ
基礎のひび割れ・無筋基礎基礎の状態と地盤を確認し、優先順位をつける
屋根が重い屋根改修と耐震補強を同時に検討する
劣化・雨漏り・シロアリ構造材を健全な状態に戻してから補強する

キッチン、浴室、屋根、外壁のリフォームと同時に行えば、壁を開ける費用や足場、仕上げ復旧をまとめられる場合があります。耐震診断を先に行い、リフォーム計画に補強を組み込むことが現実的です。

6補助制度は、診断・申請・着工の順番が大切

耐震診断や耐震改修には、国と地方公共団体による支援制度があります。ただし、対象となる建築時期、所得、工事内容、補助額、申請期限、施工業者の条件は自治体ごとに違います。

補助制度の注意

補助金を使う場合は、工事を始める前に自治体へ確認してください。診断・設計・申請・交付決定・着工の順番が指定されている制度があります。工事後に申請しても対象にならない場合があります。

深健工舎では、補助金が使えると先に決めつけず、制度の対象かどうかを確認します。診断結果と改修案を照らし合わせ、補助対象外の工事や自己負担も含めて説明します。

7住宅向け耐震診断・耐震改修のまとめ

ここまでの話を、住宅を所有する方の目線で一度まとめます。耐震化は、いきなり工事を始めるものではありません。建築確認日を確認し、耐震診断で建物の今を知り、必要な補強を設計し、補助制度を確認してから改修する。この順番が基本です。

まず確認する4つ

1.いつ建築確認を受けた家か 昭和56年6月1日より前か、以降か。平成12年6月1日以降かを確認します。

2.建物の今の状態 床下・小屋裏・基礎・接合部・劣化・増改築を調べます。

3.どこを補強するか 耐力壁、配置、接合部、基礎、屋根の重さを一体で考えます。

4.補助制度の条件 対象住宅、必要書類、締切、交付決定前の契約・着工の可否を自治体に確認します。

補助制度を使う場合の一般的な書類と手続きの流れ。必要書類・様式・時期は自治体ごとに異なります。

診断の結果、すぐに全面改修ができない場合もあります。そのときは、屋根の軽量化、劣化部の修繕、接合部、基礎、耐力壁など、効果と費用を見ながら優先順位をつけます。「安価な改修」とは、必要な工事を削ることではなく、必要な場所を見極め、無駄な工事を避けることです。

大工の墨出しと、耐震診断の基準線

私は普段、設計だけでも施工だけでもなく、その間をまたいで仕事をしています。その中でよく思うのが、一級建築士大工の墨出しは、家づくりの考え方そのものだということです。

墨出しは、現場で基準となる線や位置を出す作業です。最初の線が曖昧だと、その後の仕事が少しずつずれます。

既存住宅の耐震診断も同じです。最初の基準線は建築確認日。昭和56年6月1日より前か後か。平成12年6月1日より前か後か。そこを確認し、図面と現場、劣化と増改築を重ねていく。

建築確認日だけで安全性を決めることはできません。しかし、建築確認日を曖昧にしたまま診断を始めることもできません。基準線を出して、建物の今を見て、必要な補強を選ぶ。これが、達人塾で学び、現場で大切にしている順番です。

高額な工事を急いで決める前に、まず診断を受けてください。すべてを一度に直せない場合でも、弱点がわかれば優先順位をつけられます。

家のこと、暮らしのこと、気軽にご相談ください

ここまで少しかたい話が続きましたが、最後にひとこと。

家づくりも、リフォームも、リノベーションも、最初は「こんなこと聞いていいのかな」というところから始まる方がほとんどです。

■ 家の耐震性を一度きちんと調べたい

■ 昔の家なので、どこから手を付ければよいかわからない

■ リフォームと一緒に、無理のない耐震改修を考えたい

そういう話で大丈夫です。むしろ、そういう入口の相談こそ、大事にしたいと思っています。

群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、北群馬郡あたりで、家のこと、暮らしのことで気になっている方は、どうぞお気軽にお声がけください。

深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜がお話をお伺いします。大工の立場からも、一級建築士の立場からも、そして子育て中の一人の親としても、正直にお答えします。

一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜

深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士
構造塾で木構造の耐震性を学ぶ/木構造マイスター準一級
2022年から木造住宅の耐震リフォーム達人塾で学習継続中

深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。

根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。

お気軽にご相談を 深健工舎公式LINE https://lin.ee/XEAg32X

参考資料
建築研究所|令和8年熊本地震関係特設ページ
国土交通省|住宅・建築物の耐震化について
国土交通省|木造建築物の必要壁量等の基準
全国ハウジングマイスター協会|木構造マイスター認定講座


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