心地よい家は「感覚」ではなく「数字」でつくる。

2026年9月8日 | 投稿者:深健工舎 一級建築士大工 カズ こと 深澤一喜 | カテゴリ:ブログ/高気密・高断熱・高耐震・自然素材の家づくり

 この記事のポイント

「心地よさ」は、感覚だけでは語れません。光熱費・等級・補助金額の差額を並べると、GX-ZEH と ZEH の本当の差が見えてきます。前橋で家づくりをしてきた一級建築士大工が、子どもの現場から見えた「数字の話」を整理しました。

こんにちは。

深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。

 1. このブログでお伝えしたいこと 

最近いただく相談の中で、とくに増えているのが次の三つです。

  • 「子ども部屋の足元が、冬になるとタイルのように冷たい」
  • 「電気代が、この5年でずっと上がり続けている」
  • 「デザインと性能は、どちらか片方しか選べないと言われた」

どれも感覚の話に見えて、ぜんぶ数字の話です。

深健工舎がご提示しているのは、表面のかっこよさではなく、30年の家計と健康が決まる数字です。

 2. 背景──国の制度が、数字の底上げをしてくれた 

国土交通省は、2025年4月から、すべての新築住宅に省エネ基準適合を義務化しました。

ここで問われるのは、断熱等性能等級④以上、かつ一次エネルギー消費量等級④以上。

つまり、これから建てる家は、最低でもこの水準をクリアしないと、法律上、建ちません。

そして、2030年までに、その水準をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)相当の等級⑤まで引き上げることが、政府のロードマップに書き込まれています。

さらにその先、2050年には、住宅ストック全体の平均を ZEH レベルまで引き上げるとされています。

参考:国土交通省 省エネ住宅支援ポータル(https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/)

 3. 解決策(新築)──ZEH と GX-ZEH は、何が違うのか 

制度と性能が連動して動く時代だからこそ、数字で見比べるのが一番速い。

深健工舎が、昨年と本年のZEH/GX-ZEH関連の補助金を整理した結果が、下の表です。

 3-1. 性能要件の違い

項目ZEHGX-ZEH(GX志向型住宅)
断熱等性能等級等級5以上等級6以上
一次エネルギー消費量等級等級6以上等級6以上
一次エネルギー削減率20%以上35%以上
再生可能エネルギーを含めた目標100%を目指す100%を要件化
蓄電池の扱い推奨2027年4月から戸建は必須化(予定)

 3-2. 補助金額の違い

年度・事業ZEHGX-ZEH備考
2025 子育てグリーン住宅支援事業40万円/戸最大160万円/戸長期優良は80〜100万円
2026 みらいエコ住宅事業対象外110万円/戸(寒冷地125万円/戸)GX-ZEH のみ対象
経済産業省・環境省 ZEH支援事業55万円/戸90万円/戸(ZEH+相当)GX加算あり

※補助金額・対象は年度予算・要件で変動します。必ず最新の国土交通省・経済産業省・環境省公式ページを再確認してください。

参考:子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省)(https://kosodate-green.mlit.go.jp/newhouse-shoene/)/みらいエコ住宅2026(https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/)

 4. 解決策(改修)──既存の住宅でも、同じ物差しで語れるか 

新築の話ばかりしてきましたが、深健工舎の現場は、リフォームと改修の方が件数としては多いです。

改修で効くのは、次の四つの数字です。

  1. 窓の交換(夏場の熱流入 約70%、冬場の熱損失 約50%)
  2. 壁・床・天井の断熱補強(等級5相当:UA値 1・2地域 0.40、3地域 0.50、4〜7地域 0.60)
  3. 気密処理(C値 0.5cm²/㎡以下を、温熱と換気の最低ライン)
  4. 耐震等級引き上げ(等級1の1.5倍の地震力に耐える等級3)

このうちひとつでも数字で語れるようになると、リフォームは「なんとなく快適」から「根拠のある快適」に変わります。

 5. 背景ストーリー──「心地よい家」は、見えなくなるところで決まる 

3章と4章で、数字の物差しを並べてきました。

ここで一度、ご家族に見えないところの話に戻します。

性能の数字は、壁を閉じたあとでは、もう外から確かめられません。

だから私は、見えなくなる壁の中にこそ、一級建築士大工の仕事が一番入るようにしています。

 5-1. 隙間なく入れる断熱施工

壁の中の断熱材は、柱と柱の間に隙間なく詰め込むのが基本です。それでも現場では、コンセントボックス、配管、電気の貫通部、建具の四周、床との取り合い――こうしたところはどうしても段差や欠損が出ます。

私はその一つひとつを、施工誤差を確認しながら切り詰めることを、自分の仕事としています。

書類上のUA値(外皮平均熱貫流率)は、絵に描いた餅です。その数値が現場で本当に隙間なく入ったかどうかは、壁を閉じる前に手を入れた人が誰かで決まります。

 5-2. 気密処理──大工だからできる、納まりへのこだわり

気密処理は、見えなくなる工事の中で、最も差が出る仕事です。防湿層を連続させるために、気密テープと気密シートの取り合いを、柱・梁・床・天井の取り合い(納まり)の段階で先に決めておきます。

この納まりは、後からでは直せません。図面を描く人と、壁を閉じる人が別だと、ここで必ず妥協が生まれます。

深健工舎では、設計も施工も大工が持つため、壁を閉じる前に気密ラインを一筆書きで通すことができます。

C値(相当隙間面積)は、現場での気密測定で最終的に数値化されます。
――そこを目指す大工の腕が、C値の数字を決める。それが、私の矜持です。

 5-3. 30年、50年先を見据える

建てた直後は、どんな家もきれいに見えます。けれども、壁の中の施工精度の差は、10年、20年と経つと、必ず出てきます。

結露、カビ、シロアリ、構造材の反り――こうした劣化の多くは、壁の中の隙間と気密の不連続から始まります。

私は、壁を閉じる前に、一度その家を30年先、50年先の視点で見直すようにしています。

「この壁の中が、将来どうなっているか」を想像しながら、一本一本の施工精度を上げていく。そこを丁寧に作った家は、数字の通り、快適であり続けます。

「心地よい家」は、感覚ではなく数字でつくる。

そして、その数字を長く保証するのは、見えなくなる壁の中の仕事です。

表側のデザインよりも、壁の一枚、テープの一筆。――そこに、一級建築士大工の矜持があります。

その根拠を、光熱費の数字で見えるようにしたのが、次のセクションです。

 6. シーン別の心構え──光熱費の「30年シミュレーション」 

深健工舎で標準としているモデルケース(延床およそ40坪、4人家族、群馬地域、標準的な暖冷房+給湯)で、30年間の光熱費を比較すると、次の数字が出ます。

水準月光熱費の目安30年累計等級5相当との差
一般的な断熱レベル(平成初期相当)約15,000円約540万円+約252万円
ZEH相当(等級5以上)約8,000円約288万円基準
GX-ZEH相当(等級6以上・再エネ考慮)約6,000円以下約216万円以下▲約72万円

※実際には、家族構成・電気料金単価・暖房方式・再エネ導入量で前後します。上記の数字は、深健工舎の標準的な試算例です。

つまり、等級5相当の家を選ぶだけで、30年の家計に約252万円の差が生まれます。

しかもこの差額は、GX-ZEHの補助金最大160万円と組み合わせると、借入額にも直結します。

 6-1. 子育て家族へ

「子ども部屋が、北側で寒い」――この相談、群馬の住宅で本当によくいただきます。北側の部屋は、冬、日射がゼロに近くなります。だから、壁と窓の断熱性能を確保したうえで、暖房は循環経路で届ける設計が必要です。壁の中の施工精度まで含めて、そこまで踏み込んで設計します。

 6-2. リフォームをご検討の方へ

築20〜30年の住宅で多いのは、窓の単板ガラスと、壁内結露です。この二つは、表面からは見えにくい。でも、室内の体感温度と光熱費には、はっきり出ます。

深健工舎では、リフォームのご相談でも、等級・気密・耐震の物差しで、今の建物を「建物の今を知る」視点で評価したうえで、必要な場所に必要な量だけ手を入れます。

 6-3. 資産として長く住み継ぎたい方へ

耐震等級3は、等級1の1.5倍の地震力に耐える設計です。

2003年は、住宅のおよそ8割が窓の無断熱状態でした。それが2023年には6割強まで減りました。数字の上では良くなっていますが、「窓と耐震の両方を満たす新築は、まだ少数派」というのが、私の現場感覚です。

深健工舎は、許容応力度設計で耐震等級3相当を確保したうえで、等級6相当の断熱と、C値0.5cm²/㎡以下を目標とする高気密を、同時に成立させることを標準にしています。

 7. ご相談──深健工舎の6つのサービス 

深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。次の6つの切り口で、ご相談をお伺いしています。

  • 自然素材住宅(無垢材・珪藻土・漆喰)
  • 化学物質配慮(接着剤・塗料・新建材の選び方)
  • 断熱・気密・耐震(等級と数値で語れる設計)
  • 新築・改修(新築とリフォーム、両方とも同一基準で)
  • 長期住み継ぎ(30年先まで見据えた修繕計画)
  • 暮らし方相談(温熱・換気・家事動線まで含めた暮らしの設計)

群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、北群馬郡で、家のこと、暮らしのことをお伺いしています。

まずはお気軽にご連絡ください。深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜が、大工の立場からも、一級建築士の立場からも、正直ににお答えします。

一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜
深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士

 8. 参考資料 

  • 国土交通省 省エネ住宅支援ポータル : https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/
  • 国土交通省 建築物省エネ法(住宅)トップ : https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_tk4_000103.html
  • 国土交通省 脱炭素社会実現に向けた住宅・建築物等の省エネ対策 : https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001129.html
  • 子育てグリーン住宅支援事業(新築省エネ住宅) : https://kosodate-green.mlit.go.jp/newhouse-shoene/
  • 子育てグリーン住宅支援事業(概要) : https://kosodate-green.mlit.go.jp/about/
  • みらいエコ住宅2026 : https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/
  • 資源エネルギー庁 省エネ住宅関連情報 : https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/
  • 深健工舎 トップページ : https://shinkenkohsya.com/
  • 深健工舎 お問い合わせ : https://shinkenkohsya.com/contact/

深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。

根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。

ご相談はお気軽に 深健工舎公式ライン


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