補助金は、得か損かの話ではありません。

国が住宅の窓と給湯器にお金を出しているのには、はっきりした理由があります。その理由がわかると、自分の家で何を先にやるべきかも見えてきます。住宅省エネ2026キャンペーンの仕組みと、今おすすめしたいリフォームを、順番に整理します。

今週のブログ / 補助制度と省エネリフォーム

まだ間に合う!
省エネキャンペーン2026

補助金の先へ。国が窓と給湯器にお金を出す理由、内窓という一手、そして壊れる前に考える給湯器

一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜/深健工舎

ごあいさつ

こんにちは。

深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。

深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、渋川市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。

快適で住み心地の良い家をつくることを、私たちの仕事の芯にしています。

前回はヒートショック対策を、浴室・脱衣所・窓の順番から考えました。今回はその続きのような話です。「光熱費を抑えたい」「冬の寒さと夏の暑さを何とかしたい」「せっかくなら補助金を使いたい」――このご相談に、制度の側から答えます。

ただ、最初にお断りしておきます。このブログに補助額は書きません。理由は本文で説明します。書くのは、制度がどこを向いているかと、その中で自分の家は何を先にやるべきかです。そこがわかっていれば、金額は公式サイトで調べれば足ります。

■ このブログで学べること

  1. なぜ国は、住宅の省エネに多額の予算を使うのか
  2. 住宅省エネ2026キャンペーンという仕組み
  3. 国の政策が向かっている3つの方向
  4. 対象になる工事を、段階で整理する
  5. 工事の手法を比較する
  6. 今おすすめしたいのは、やはり「窓」
  7. 給湯器は、壊れる前に考える
  8. まとめ|「まだ間に合う」のうちに、順番を決める
  9. 家のこと、暮らしのこと、気軽にご相談ください

1 なぜ国は、住宅の省エネに多額の予算を使うのか

「なぜ国が、個人の家のリフォームにお金を出すんですか」

ご相談の席で、何度か聞かれた質問です。もっともだと思います。

大きな理由は、住宅で使うエネルギーを減らすためです。日本では、冷暖房・給湯・照明など、毎日の暮らしの中で多くのエネルギーを使っています。とくに築年数の経った住宅は、窓や壁から熱が出入りしやすく、冷暖房を使っても「夏は暑い」「冬は寒い」と感じやすい。エネルギーを使っているのに、快適になっていない状態です。

そこを直すと、いくつかのことが同時に起きます。

  • 光熱費の負担が減る
  • 夏の暑さ・冬の寒さがやわらぐ
  • ヒートショックなど、温度差による健康リスクが減る
  • CO₂の排出が減り、脱炭素社会に近づく
  • 将来にわたって住み続けやすい住宅が増える

つまり省エネリフォームは、環境のためだけの工事ではありません。毎月の光熱費、住まいの快適さ、ご家族の健康に、そのままつながっています。国が予算を投じているのは、一軒ずつの効果が積み上がると国全体の数字が動くからです。

カズの判断

補助金があるから工事をする、という順番を、私はお勧めしません。何度か、こういうご相談を受けました。「補助対象だと言われたので給湯器を替えたけれど、家の寒さは変わらなかった」。当然です。その家で先に直すべきは窓だったからです。

制度は、やるべき工事の背中を押してくれるものです。やるべきことを決めるのは制度ではなく、その家の状態です。順番を決めてから、使える制度を当てはめる。逆にすると、お金をかけたのに体感が変わりません。

2 住宅省エネ2026キャンペーンという仕組み

いま動いているのが「住宅省エネ2026キャンペーン」です。新築とリフォームを対象にした4つの補助事業をまとめた、その総称です。

大事な点を4つだけ押さえます。

ひとつ目。対象は広い。一部の新築住宅を除き、子育て世帯に限らずすべての世帯が対象です(新築の長期優良住宅・ZEH水準住宅は、若者夫婦世帯または子育て世帯に限られます)。「うちは子育て世帯じゃないから」と諦めていた方は、確認する価値があります。

二つ目。申請するのはお客さまではありません。この制度は、お客さまと契約した住宅事業者が、交付申請の手続きを行います。お客さまご自身が申請する仕組みではありません。工事をお願いする会社が登録事業者かどうかを、ご検討の段階で確認してください。

三つ目。事業どうしを組み合わせて使えます。たとえば窓の工事は先進的窓リノベ2026事業、給湯器は給湯省エネ2026事業、というように、工事の中身ごとに別々の事業を使います。併用を前提にした規定もあります(みらいエコ住宅2026事業では、他の事業で交付決定を受けている場合、申請額の下限が5万円から2万円に緩和されます)。なお交付申請は事業ごとの事務局に行う形で、まとめて申請できる仕組みについては今後公表されるとされています。

四つ目。予算に達すると受付が終わります。これがいちばん大事です。

大事な整理

このブログに補助額を書かないのは、そのためです。要件・補助額・受付状況は年度ごとに変わり、予算上限に達した時点で締め切られます。金額を書いた文章は、読まれた時点でもう古くなっていることがあります。

「まだ間に合う」かどうかは、今日の受付状況でしか答えられません。必ず当年度の公式サイトで最新の条件をご確認ください。そして、確認は早いほうがいい。「まだ間に合うかも」と思った時点が、確認するタイミングです。

参考までに、2026年9月23日午前0時の時点で、予算に対する補助金申請額の割合は、先進的窓リノベ2026事業が約25%、給湯省エネ2026事業が約45%でした。いずれも公式サイトが毎日更新している概算値です。この記事をお読みの時点では必ず変わっていますので、ご自身で今日の数字をご確認ください。

給湯器のほうが、消化が進んでいます。これは意外に思われるかもしれませんが、給湯器は壊れたら待ったなしなので、季節に関係なく申請が出ていくからです。窓は寒くなってから一気に動きます。どちらも、早いほうが確実です。

3 国の政策が向かっている3つの方向

制度の細かい中身は毎年変わります。でも向かっている方向は、ここ数年ぶれていません。新築だけでなく、今ある住宅を性能の高い住まいへ変えていくという方向です。

1.窓・断熱の強化

住宅の中で熱の出入りがいちばん大きい場所のひとつが窓です。冬は室内の暖かさが逃げやすく、夏は外の熱が入りやすい。窓の断熱性能を上げることは、省エネ対策の基本です。

2.高効率給湯器への切り替え

家庭で使うエネルギーのうち、給湯は大きな割合を占めます。古くなった給湯器を高効率な機器へ替えると、毎日使うお湯にかかるエネルギーを抑えやすくなります。

3.住宅全体の性能向上

窓だけ、給湯器だけではなく、断熱・設備・換気を組み合わせて、住まい全体を省エネな状態に近づけていく。これが大きな流れです。今後は、住宅の性能が「住み心地」だけでなく、光熱費や資産価値にも関わる時代になっていくと考えられます。

背景には、新築側の基準の引き上げがあります。2025年4月から、新築には省エネ基準(断熱等性能等級4・一次エネルギー消費量等級4以上)への適合が義務づけられました。ただし、この義務は既存住宅にはかかりません。今お住まいの家にかかっているのは、建てられた当時の基準です。

新築の基準が上がることは、既存住宅の性能が上がることではありません。むしろ差は開きます。補助制度は、その差を埋めるために用意されている、と考えるとわかりやすいと思います。

4 対象になる工事を、段階で整理する

省エネ関連のキャンペーンで対象になることがあるのは、おおむね次のような工事です。内窓の設置、窓ガラスの交換、外窓・玄関ドアの交換、断熱材の施工、高効率給湯器の設置・交換、節湯水栓などの省エネ設備。制度によって対象条件は異なります。

並べると多く見えますが、どこから手をつけるかで整理すると、判断しやすくなります。

項目段階1:窓から始める段階2:設備を替える段階3:住まい全体を直す
主な工事内窓、ガラス交換高効率給湯器、節湯水栓外窓・玄関ドア交換、断熱材の施工
効くところ熱が逃げる原因毎日のお湯のエネルギー家全体の温度の安定
工事の重さ軽い(壁を壊さない)中(設備の入替)重い(仕上げをはがす)
住みながらできるかできるほぼできる部分的に難しい
着手までの時間調査から数週間数週間1か月以上のことも

ただし、この段階はどの家でも同じ順番になるわけではありません。給湯器が寿命を迎えていれば、そちらが先です。窓がすでに複層ガラスなら、段階1は飛ばせます。築年数、これまでの改修履歴、いま何に困っているかで変わります。表は考え方の枠としてご覧ください。実際は現地で状態を確認したうえで決めます。

5 工事の手法を比較する

窓まわりは、同じ「窓を直す」でも工事の範囲と得られる性能が違います。名前だけで選ばないための整理として、現地で何を確認するかを添えます。

手法主な確認内容かんたんに言うと
内窓(二重窓)既存の窓枠の形状、取り付ける奥行きがあるか「窓と窓の間に空気の層をつくる」
ガラス交換今のサッシにどの厚みのガラスが入るか「ガラスだけ性能の高いものにする」
外窓交換(カバー工法)既存枠を残せるか、外壁との取り合い「枠まで新しくして、すきまも直す」
玄関ドア交換枠の寸法、下地の状態、方位と風当たり「大きな一枚の冷たい面を入れ替える」
断熱材の施工今の断熱材の有無と状態、点検口から入れるか「壁や天井の中の逃げ道をふさぐ」

ただし、手法が決まっても、その家でできるとは限りません。とくに内窓は、今の窓枠の形と、枠のまわりに取り付ける奥行きがあるかどうかで可否が変わります。断熱材の施工も、開けてみたら想定と違った、ということが起こります。「この家ならこれができる」は、現地で確認してからのご提案になります。

6 今おすすめしたいのは、やはり「窓」

数ある省エネリフォームの中で、まずお勧めしたいのは窓の断熱リフォーム、とくに内窓です。

理由をはっきり書きます。壁には断熱材が入っています。窓には入っていません。ガラスとサッシ(窓枠)だけです。古いアルミサッシ+単板ガラス(1枚ガラス)は熱を通しやすく、冬に暖房で温めた空気は、まず窓から逃げていきます。夏は逆に、外の熱がここから入ります。

内窓は、今ある窓の内側にもう一つ窓を取り付ける工事です。窓と窓の間に空気の層ができ、外気の影響を受けにくくなります。期待できることは、次のとおりです。

  • 冬の冷え込みをやわらげる
  • 夏の熱気が入りにくくなる
  • 冷暖房の効率が上がりやすい
  • 結露を抑えやすい
  • 外の音が気になりにくくなる
  • 比較的短期間で施工しやすい

工事としても軽い。多くの場合、1か所1時間程度で、壁を壊しません。住みながらできて、1部屋から始められます。

「リビングだけ寒い」「寝室の結露が気になる」「道路沿いの音が気になる」。このようなお悩みにも、内窓は効きます。

カズの判断

「全部やらないと意味がないですか」と聞かれることがあります。私は、そうは思いません。予算は有限で、暮らしは今日も続いています。リビングと寝室と脱衣所の窓だけ直したお宅で、「今年の冬は違った」と言っていただいたことが何度もあります。効く順番から、できる範囲で。全部やらないと意味がないという考え方は、結果として何も変わらないことにつながります。

なお、結露は掃除や換気の不足だけの問題ではなく、「その面が冷たい」というサインです。放っておけばカビとダニが育ち、アレルギーの原因になります。窓の断熱は、光熱費の話であると同時に、健康の話でもあります。

→ 内窓の補助金「先進的窓リノベ2026」は、もう予算の4分の1が消えています

7 給湯器は、壊れる前に考える

給湯器は、壊れてから急いで交換するケースが圧倒的に多い設備です。これが、いちばんもったいない。

故障してからでは、機種をじっくり選ぶ時間がありません。在庫のあるものから選ぶことになります。補助制度の確認も、申請の段取りも、お湯が出ない状況では難しい。そして冬の故障は、たいてい一番寒い日に起きます。

ですので、次のような状態なら、早めの点検と交換の検討をお勧めします。

  • 使用年数が長くなっている(設置から10年以上が一つの目安です。ただし使い方や設置環境で変わります)
  • お湯の温度が安定しない
  • 運転中に異音がする、以前より音が大きい
  • 本体や配管まわりに水漏れのあとがある

高効率給湯器は、機器の代金だけでなく、毎日の給湯にかかるエネルギーを見直せる点が大きい設備です。毎日必ず使うものなので、差は積み上がります。給湯省エネ2026事業では、エコキュートやハイブリッド給湯機、エネファームなどが対象になります。ただし、事務局に登録された製品を使った工事であることが条件です。

順番の注意

ただし、給湯器を替えても家の寒さは変わりません。ここは分けて考えてください。給湯器は「お湯のエネルギー」の話、窓は「家から逃げる熱」の話です。両方に補助制度がありますが、ご自宅で今いちばん困っていることがどちらなのかで、順番が決まります。

「寒い」が困りごとなら窓が先。「給湯器がそろそろ怪しい」が困りごとなら給湯器が先。両方あてはまるなら、同じ年に両方の事業を使える場合もあります。ここは制度の組み合わせの話になるので、現地でご説明します。

深健工舎は、住宅省エネ2026キャンペーンの登録事業者です。現場調査から製品の選定、工事、交付申請の手続きまで通して対応します。お客さまにしていただくのは、必要書類へのご署名など最小限です。

8 まとめ|「まだ間に合う」のうちに、順番を決める

国が住宅の省エネにお金を出しているのは、設備を新しくするためではありません。エネルギーの使い方を変えるためです。その結果として、光熱費が下がり、家が快適になり、温度差による健康リスクが減ります。国の目的とご家庭の利益が、めずらしく同じ方向を向いている分野だと思っています。

住宅省エネ2026キャンペーンは、対象が広く、事業どうしを組み合わせて使え、申請は事業者が行い、予算に達すると受付が終わります。補助額をこのブログに書かないのは、読まれた時点で古くなるからです。金額は公式サイトで、今日の条件をご確認ください。

そして順番です。補助金があるから工事をするのではなく、その家で先にやるべきことを決めてから、使える制度を当てはめる。多くの場合、それは窓から始まります。給湯器は、壊れてからではなく、怪しいと思った時点で。

そのうえで、もうひとつ。工事の前に、お金のかからない対策があります。冬の寒さと温度差でお困りなら、入浴の20〜30分前に脱衣所の暖房を入れる、お湯はりの最後の5分をシャワー給湯に切り替える、湯温は41度以下で10分まで。ここまでは費用がかかりません。それでも寒さが残るなら、そこではじめて工事の出番です。

温度差と健康の話は、別の記事にまとめました。あわせてお読みください。

→ これからでもできるヒートショック対策|浴室・脱衣所・窓の順番

「段取り八分、仕事二分」と昔の大工は言いました。家の仕事は、本当にそうです。現地を見て、内容を決めて、製品を手配して、申請して、工事をする。丁寧にやれば、それだけ時間がかかります。「まだ間に合う」という言葉が本当のうちに、順番だけでも決めておいてください。

こんなご相談からで大丈夫です

「うちは何が補助の対象になるのか、見てほしい」

「窓だけでも補助金は使えるのか知りたい」

「今からでも今年度に間に合うか、確認したい」

「給湯器がそろそろ怪しいので、替えどきを相談したい」

深健工舎では、現地で窓・断熱・設備の状態を確認し、まず何を先にやるべきかをお伝えしたうえで、その工事に使える制度をご案内します。制度に合わせて工事を決めるのではなく、工事に制度を当てはめる順番です。

最初のご相談では、図面がなくても構いません。どこが寒いか、いつ寒いか、光熱費がいくらか、給湯器をいつ付けたか。それだけで話が始まります。現地を見て、「今年はまだ替えなくて大丈夫です」とお伝えすることもあります。

「この冬をどう過ごしたいか」を、一緒に具体化していきましょう。

家のこと、暮らしのこと、気軽にご相談ください

「補助金が使えるうちに何かしたい」「窓の結露を止めたい」「給湯器の替えどきを知りたい」――その段階で十分です。

■ 光熱費と、夏の暑さ・冬の寒さが気になっている方

■ 内窓・ガラス交換・玄関ドア・断熱材を検討したい方

■ 給湯器の交換時期が近い方

群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、渋川市、北群馬郡で、家のこと、暮らしのことをお伺いしています。

まずは「補助金を使ったリフォームについて相談したい」と、お気軽にご連絡ください。深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜が、大工の立場からも、一級建築士の立場からも、そして子育て中の一人の親としても、正直にお答えします。

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一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜

深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士

深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。

参考資料
国土交通省ほか|住宅省エネ2026キャンペーン(リフォーム)環境省|先進的窓リノベ2026事業経済産業省|給湯省エネ2026事業
滋賀県|ヒートショック対策について
国土交通省|省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。
※本記事の制度内容・予算執行状況は2026年9月23日午前0時時点の公式サイトの記載に基づきます。予算執行状況は毎日更新されます。最新の条件は必ず公式サイトでご確認ください。


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