これからでもできるヒートショック対策|浴室・脱衣所・窓の順番

date: 2026-09-16 author: 一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜 category: リフォーム・断熱改修 excerpt: ヒートショック対策は浴室・脱衣所・窓の3点セット。9月に動くべき理由、内窓という現実的な一手、そしてお金のかからない順番を、大工の目線で正直にお伝えします。

冬の入浴は、毎年のことです。

**それでも危ないのは、寒い家そのものではなく、暖かい居間から寒い脱衣所へ、そして熱い湯船へという温度の急変です。**浴室・脱衣所・窓のどこから手をつけるか。0円でできることから工事までを、効く順番に並べてまとめます。

今週のブログ / ヒートショック対策と浴室・脱衣所のリフォーム

これからでもできるヒートショック対策

設備の先へ。浴室・脱衣所・窓の3点セット、内窓という現実的な一手、そして0円でできる順番

一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜/深健工舎

こんにちは。

深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。

深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。

快適で住み心地の良い家をつくることを、私たちの仕事の芯にしています。

前回は既存住宅の断熱を、部位と優先順位から考えました。今回はその中でも後回しにされがちな場所――浴室と脱衣所に絞ります。

タイトルに「これからでもできる」と書きました。工事をしなくても、今夜のお風呂から変えられることがあります。そこから始めて、足りない分だけを工事で埋める。対策を段階に分けて、どこまでやるかをご自身で選べるように並べるのが、この記事の狙いです。

■ このブログで学べること

  1. 9月に浴室の相談が来るのは、お客さまが賢いから
  2. 危険なのは「低い温度」ではなく「急変」
  3. 対策は窓・浴室・脱衣所の“3点セット”
  4. 対策には3つの段階がある
  5. 工事の手法を比較する
  6. 内窓という、現実的な一手
  7. お金のかからない順番から
  8. まとめ|順番を決めるのが、暖かいうちの仕事
  9. 家のこと、暮らしのこと、気軽にご相談ください

1 9月に浴室の相談が来るのは、お客さまが賢いから

9月の終わりごろ、「お風呂、そろそろ何とかしたいんです」というご相談が増えます。まだ半袖で過ごせる時期です。正直に言えば、この時期に動かれる方は賢いと思っています。

理由は単純です。11月に寒くなってからご相談をいただくと、現場調査、製品の手配、工事日の確保で、どうしても真冬に間に合わないことがあります。内窓のような人気の建材は、寒くなるほど納期が延びます。「寒いから何とかしたい」と思った時期は、すでに一番混んでいる時期なのです。

寒さを感じる前に決める。それだけで、選べる選択肢の幅がまったく違います。

カズの判断

「去年の冬、お風呂で気を失いそうになった」と、11月の終わりに来られたお宅がありました。話をうかがって、その冬は工事ではなく、入浴前の暖房と、お湯はりの仕方だけをお伝えしました。工事は翌年の秋にやりました。設備を売るより先に、その冬をどう安全に越すかです。暖かいうちにご相談いただければ、順番どおりに全部できます。


2 危険なのは「低い温度」ではなく「急変」

ヒートショックというと「寒い家が危ない」と思われがちですが、正確にはすこし違います。危ないのは、暖かい居間から寒い脱衣所へ、そして熱い湯船へ、という温度の急変です。血圧が短時間で大きく上下することが、体に負担をかけます。

滋賀県も、対策の要点として「温度の急激な変化を避けるため、入浴前に脱衣所や浴室を暖房器具で暖めることが効果的」と案内しています。同じページに、暖房をしていない脱衣室や浴室では室温が10度以下になることもめずらしくなく、寒い脱衣室で服を脱ぐと身体表面全体の温度が急激に10度程度下がる、とあります。

入浴そのものについても目安が示されています。**お湯の温度は41度以下、浸かる時間は10分を目安に。**10分の入浴で体温は38度に達し、熱い湯ほど上がり方が早い。浴槽から立ち上がるときにめまいや立ちくらみの経験がある方は、とくに注意してください――これらはすべて、滋賀県の同ページに書かれている数値と注意です。私が独自に計算したものではありません。

同ページでは、冬の入浴中の事故が「交通事故死の約3倍」と紹介されています。つまりこれは、設備の話である前に、生活の順番の話なのです。

大事な整理

制度の話として押さえてください。**住宅の断熱には、既存住宅への義務がありません。**2025年4月から新築には省エネ基準(断熱等性能等級4・一次エネルギー消費量等級4以上)への適合が義務づけられましたが、今お住まいの家にかかっているのは、建てられた当時の基準です。冬に脱衣所が10度を下回るのは、法令違反ではなく、ごくふつうに存在する状態です。直すかどうかは、住まい手ご自身が判断するしかありません。

そしてこの記事は医療の助言ではありません。持病のある方、血圧の薬を飲んでいる方は、必ずかかりつけの先生にご相談ください。私が書けるのは、建物側からできることだけです。


3 対策は窓・浴室・脱衣所の“3点セット”

ここは誤解が多いところなので、はっきり書きます。**浴室だけ暖めても足りません。**危険は、移動するときに生まれるからです。

脱衣所は、服を脱ぐ場所です。体が一番無防備になる部屋です。ここが冷えていると、浴室をいくら暖めても急変は起きます。

浴室は、湯気で暖まります。ただしタイル張りの在来浴室(ユニットバスではなく、現場でタイルやモルタルを施工してつくる浴室のことです)は、床と壁が熱を奪います。

窓からは、脱衣所と浴室の熱の多くが逃げていきます。ここを放置したまま暖房を足すのは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。

滋賀県のページにも「窓まわりは熱が逃げやすいので内窓を設置するなども効果があります」とあります。行政の案内と、現場の実感が一致している、数少ないテーマです。

この3つは、どれか1つでは効きません。逆に言えば、3つ揃えば暖房の効き方が変わります。

確認したい3つ

1.脱衣所に、暖房の手段があるか(コンセントがあるか、どこに置けるか)

2.浴室は在来工法か、ユニットバスか(工事の範囲が大きく変わります)

3.浴室・脱衣所の窓は、どの種類か(アルミサッシ+1枚ガラスか、複層ガラスか)

〔写真キャプション:浴室と脱衣所の窓。ここが3点セットの起点になる〕


4 対策には3つの段階がある

3点セットを、どこまでやるか。ここを段階に分けて考えると、判断しやすくなります。

項目段階1:習慣を変える段階2:暖房を足す段階3:建物を直す
費用の目安0円数千円〜数万円数万円〜数十万円
何をするか入浴前の暖房、お湯はりの工夫、湯温と時間脱衣所に小型暖房機、浴室暖房乾燥機内窓、ガラス交換、浴室の入替
効くところ温度の急変そのもの脱衣所・浴室の室温熱が逃げる原因
着手までの時間今夜からその日から調査から工事まで数週間
残る課題毎回の手間がかかる窓から熱が逃げ続ける習慣は依然として必要

ただし、この表は費用の保証ではありません。段階3の金額は窓の大きさ、枠の形状、浴室の工法、下地の状態で大きく変わります。あくまで考え方の目安としての一例としてご覧ください。実際の金額は現地を確認したうえでのご提示になります。

そして大事なのは、段階を飛ばさないことです。段階1で足りるお宅は、実際にあります。段階3をやっても、段階1はなくなりません。


5 工事の手法を比較する

段階3に進む場合、同じ「浴室の寒さを直す」でも、工事の範囲と得られる効果はまったく違います。名前だけで選ばないための整理です。

手法主な確認内容かんたんに言うと
内窓(二重窓)既存の窓枠の形状、取り付ける奥行きがあるか「窓と窓の間に空気の層をつくる」
ガラス交換今のサッシにどの厚みのガラスが入るか「ガラスだけ性能の高いものにする」
サッシごと交換(カバー工法)既存枠を残せるか、外壁との取り合い「枠まで新しくして、すきまも直す」
浴室暖房乾燥機電源の容量、換気ダクトの経路、天井の点検口「入る前に、浴室をスイッチで暖める」
ユニットバスへの入替土台と柱の状態、寸法、給排水の位置「箱ごと入れ替えて、底冷えを断つ」

ただし、手法が決まっても、その家でできるとは限りません。とくに内窓は、今の窓枠の形と、枠のまわりに取り付ける奥行きがあるかどうかで可否が変わります。ユニットバスへの入替も、在来浴室では土台や柱が湿気で傷んでいることがあり、開けてみて判断することがあります。「この家ならこれができる」は、現地で確認してからのご提案になります。

〔写真キャプション:内窓施工後。既存サッシの内側に樹脂サッシを追加〕


6 内窓という、現実的な一手

段階3の中で、私が最初にお勧めすることが多いのは内窓です。理由は3つあります。

**1.工事が軽い。**既存の窓の内側に、もう1枚の窓を取り付けるだけです。多くの場合、1か所1時間程度で、壁を壊しません。

**2.住みながらできる。**浴室の入れ替えのように、お風呂に入れない日が続くことがありません。

**3.効果が体感しやすい。**脱衣所の底冷えと、窓ぎわの冷たい空気の流れ(コールドドラフト。冷えた窓で空気が冷やされ、床に向かって流れ落ちる現象です)が、はっきり減ります。結露も同時に減ります。

費用は窓の大きさや仕様で変わりますが、脱衣所と浴室の小窓2か所であれば、数万円台からの範囲に収まることが多い工事です。これも一つの目安であって、枠の形状によって下地づくりが必要になれば上がります。

内窓の設置を対象とした国の補助制度もあります。2026年度は「先進的窓リノベ2026事業」が該当します。ただし要件・補助額・受付状況は年度ごとに変わり、**予算上限に達した時点で締め切られます。**金額をここに書くことは避けます。必ず当年度の公式サイトで最新の条件をご確認ください。また、当社のような登録事業者を通した申請が前提になる点にもご注意ください。

カズの判断

「全部やらないと意味がないですか」と聞かれることがあります。私は、そうは思いません。予算は有限で、暮らしは今日も続いています。まず内窓、様子を見て浴室本体、という順番で十分効く現場が多い、というのが率直なところです。脱衣所と浴室の窓だけ直したお宅で、「今年の冬は違った」と言っていただいたことが何度もあります。全部やらないと意味がないという考え方は、結果として何も変わらないことにつながります。

浴室そのものを在来工法からユニットバスへ替えるのも有効です。ただし費用も工期も一段上がります。急ぐ順番としては、その前に窓です。


7 お金のかからない順番から

ここまでリフォームの話をしておいて矛盾するようですが、いちばん最初にやっていただきたいのは、段階1――0円でできることです。タイトルの「これからでもできる」は、ここを指しています。

■ 入浴の20〜30分前に、脱衣所の暖房を入れる

小さなセラミックヒーターで足ります。滋賀県も消費者庁も、対策の最初にこれを挙げています。工事は要りません。

■ 湯を張るとき、高い位置からシャワーで給湯する

蒸気で浴室全体が暖まります。自動給湯なら、**最後の5分だけシャワー給湯に切り替えるだけでも違います。**滋賀県の案内にある方法です。

■ 湯温は41度以下、10分まで

熱い湯に長くつかるほど、体温の上がり方は早くなります。

■ 浴槽から出るときは、手すりや浴槽のへりを使ってゆっくり立ち上がる

立ちくらみの経験がある方は、とくにここです。

■ 食事直後・飲酒後・睡眠薬の服用後の入浴を避け、家族に一声かけてから入る

設備ではなく、習慣の話です。ご高齢の方の一人での入浴は、声かけと見守りが効きます。

順番の注意

ここまで全部、費用はほとんどかかりません。そして工事をしても、この習慣は要ります。**内窓を入れても、入浴前の暖房は必要です。**順番はこうです。まず習慣、次に脱衣所の暖房機、そのうえで窓、そして浴室そのもの。この順番を飛ばして設備から入ると、費用をかけたのに不安が残ります。

逆に、段階1で足りるお宅もあります。それでも「脱衣所の暖房が効かない」「窓ぎわが冷たい」と感じるなら、そこではじめて窓の出番です。

いただくご質問に、2つ多いものがあります。

**内窓はいくらかかりますか。**窓の大きさ、ガラスの仕様、下地の状態で変わります。小窓2か所なら数万円台からの範囲に収まることが多い、というのが目安です。補助制度を使える年度は実質の負担が下がりますが、金額は年度ごとに変わるため、現地を見たうえでその時点の条件でご提示します。

浴室暖房と内窓、どちらが先ですか。私は窓を先にとお答えすることが多いです。窓が冷えたままだと、暖房で作った熱がそこから逃げ続けます。ただし、すでに複層ガラスが入っている、窓が小さい、脱衣所に電源がない――そうした条件では、暖房を先にしたほうが効くこともあります。ここは現地を見ないと判断できません。

設備を売る前に、お金のかからない順番からご提案する。これは大工としての決意のようなものです。


8 まとめ|順番を決めるのが、暖かいうちの仕事

ヒートショックは、寒さを我慢するかどうかの話ではありません。体が対応できる速さを超えた温度の急変が、家の中で起きているという話です。

だから対策は、窓・浴室・脱衣所の3点セットで考えます。既存住宅の断熱に義務はなく、冬に10度を下回る脱衣所はごくふつうに存在します。直すかどうかは、住まい手が決めるしかありません。窓には断熱材が入っておらず、内窓は壁を壊さずに1か所から始められる現実的な一手です。行政も内窓の効果を挙げています。

そして順番です。**まず習慣、次に脱衣所の暖房機、そのうえで窓、そして浴室そのもの。**入浴の20〜30分前に脱衣所を暖める、お湯はりの最後の5分をシャワーにする、湯温は41度以下で10分まで。ここまでは費用がかかりません。

「段取り八分、仕事二分」と昔の大工は言いました。家の仕事は、本当にそうです。この記事を暖かいうちに書いておくと、11月に「昔の記事を見ました」とお電話をいただきます。そのときには、もう寒くなっています。だから、今なのです。

こんなご相談からで大丈夫です

「脱衣所が寒いけれど、工事までするべきか迷っている」

「浴室の窓に内窓が付けられるか、見てほしい」

「在来の風呂をユニットバスにしたら、どれくらい変わるのか知りたい」

「使える補助制度があるか、今年の分を確認したい」

深健工舎では、現地で浴室・脱衣所・窓の状態を確認し、まず費用のかからない対策をお伝えしたうえで、工事が必要な部分の優先順位、気密、自然素材、将来の維持管理まで含めて、ご家族ごとの計画を一緒に考えます。

最初のご相談では、図面がなくても構いません。どこが寒いか、いつ寒いか、誰が使うか。それだけで話が始まります。現地を見て、「まだ工事は要りませんね」とお伝えすることもあります。

冬は、必ず来ます。「この冬を、家族が安全に過ごすには何が要るか」を、一緒に具体化していきましょう。


家のこと、暮らしのこと、気軽にご相談ください

「脱衣所の寒さを何とかしたい」「浴室に内窓が付くか知りたい」「親が一人で入浴するのが心配」――その段階で十分です。

■ 浴室・脱衣所の寒さが気になっている方

■ 高齢のご家族と暮らしている方、ご実家の入浴が心配な方

■ 内窓・浴室暖房・ユニットバス入替を検討したい方

群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、北群馬郡で、家のこと、暮らしのことをお伺いしています。

**まずは「浴室の寒さについて相談したい」と、お気軽にご連絡ください。**深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜が、大工の立場からも、一級建築士の立場からも、そして子育て中の一人の親としても、正直にお答えします。

一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜

深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士大工

深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。

根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。

参考資料

・滋賀県|ヒートショック対策について ・消費者庁|冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! ・政府広報オンライン|交通事故死の約3倍?! 冬の入浴中の事故に要注意! ・環境省|先進的窓リノベ2026事業 ・国土交通省|省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。

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